訪問看護ステーション開設の方法や準備をステップ別に解説【前編】
この記事はこんな方におすすめ
- 訪問看護ステーションの開設を検討している方
- 訪問看護ステーションの管理者をされている方
- 訪問看護ステーションの管理者候補として、知見を深めたい方
この記事を読むとこうなります
- 訪問看護ステーションの開設準備段階で押さえておくべきポイントを学べます
- 効率的な開設プロセスを通じて、訪問看護ステーションの円滑な開設方法がわかります
- 開業後のステーション運営を安定させるためのヒントが得られます
この記事では、訪問看護ステーションの開業に向けて、実践的なステップとその実行方法について詳細に解説していきます。
訪問看護ステーションの開設方法について
訪問看護ステーションの開設は法人でしかできません。
法人登記後には、「個人での開業」と「フランチャイズ(FC)による開業」の二つの主要な選択肢があります。
それぞれの特徴を以下に紹介します。
個人での開設
- 事業主の理念やビジョンに基づいて訪問看護ステーションを運営できる。
- 個性や独自のサービスを提供し、市場での差別化を図ることができる。
- スタートから全てを自己で構築するため、多くの時間と努力が必要になる。
フランチャイズでの開設
- 成功実績のあるビジネスモデルを採用し、新たなサービスや店舗展開ができる。
- フランチャイズ本部からのサポートとシステム提供により、開設時のリスクを低減できる。
- フランチャイズ本部への加盟料やロイヤリティの支払いが必要になる。
- フランチャイズ本部の方針に従わなければいけない可能性が高い。
個人で訪問看護ステーションを開設する場合、高い自由度が得られますが、それに伴い多くの時間と努力が必要となり、リスクも伴います。
反対に、フランチャイズ開業は個人開業に比べて安定したスタートが期待できますが、一定の制約を受け入れる必要があります。
事業主がどちらの方法を選択するかは、自身の目標やビジョン、リスク許容度に基づいて慎重に決定することが重要です。
訪問看護ステーションの新規開設における12ステップ
ステップ① 開設目的の明確化
新規事業所を開設する際、その目的を明確にすることは非常に重要です。
目的は提供するサービスの質や追求するビジョンの基礎となります。
では、なぜ開設の目的を設定することが重要なのでしょうか?
- 方向性の明確化
明確な目的を設定することで、事業が進むべき方向性が定まります。
- 持続的な動機付け
開設初期の苦しい時期でも、事業の基本理念を思い出すことで、情熱を保つことができます。
- 信頼関係の構築
顧客やチームメンバーと共有する明確な目的は、強い信頼関係を築く基盤となります。
上記から、開設の目的を設定することの重要性を把握できたと思います。
では、どのように開設目的を設定すれば良いのでしょうか?
開設目的の設定プロセス
- 自己の価値観の再確認
訪問看護を通して、何を重視し、どういったことに情熱を感じるのかを深く考えることが重要です。
- 市場の理解
提供しようとしている価値が、どれだけ市場で必要とされているかを調査します。
- 具体性の追求
抽象的な概念だけではなく、明確かつ具体的な表現で目的を定義します。
事業所を開設するにあたり、目標の明確化は必須です。
自己の価値観と市場のニーズを融合させ、明確な目的を設定することが求められます。
ステップ② 法人設立
訪問看護ステーションを開設する際には、法人設立が必須となります。
また、法人設立に伴い会社設立登記を行うことは、事業の基礎を築く上で非常に重要なステップであり、以下のようなプロセスで進めていきます。
会社設立登記のプロセス
- 準備段階
事業の名称、目的、資本金などを含む定款を作成します。
- 公証役場での手続き
作成した定款を公証役場に提出し、認証を受け取ります。
- 法務局での登録
公証役場で認証を受けた定款を基に、法務局にて法人登録を行います。この際、必要書類と手数料が伴います。
会社設立登記は、事業の正式な開始と法的な権利・義務の確立に不可欠です。
この手続きを通じて事業の信頼性を高めることができます。
ステップ③ 自治体との協議
訪問看護ステーションを開設するにあたり、開設を検討している市町村の高齢福祉担当者との面談を行い、事業計画や目標、理念、運営方針などを説明することは非常に重要です。
自治体との対話を通じて、以下のような利点を得ることができます。
地域の特性への理解
訪問看護サービスは地域の特性に大きく影響されるため、事業開始前にサービス提供地域の状況や地域のニーズを十分に理解することが重要です。
信頼関係の確立
医療や福祉サービスでは信頼関係が極めて重要です。
事業所開設前から地域の関連機関との関係を構築することで、開設後すぐに地域社会での役割を効果的に果たすことが可能になります。
これらの対話は、地域社会に受け入れられる訪問看護ステーションを築くための基盤となります。
ステップ④ 開設資金の準備
訪問看護事業所を開設する際には、資金調達方法を検討し、必要な資金の総額を把握することが重要です。
事業の規模や目指す方向に応じて、以下のような資金調達方法を検討することが大切です。
- 自己資金の活用
初期投資に自己資金を使用することは、基本的な方法です。十分な資金があれば、融資時の信用度が高まり、より良い条件での借入れが可能になります。
- 金融機関からの借入れ
地方銀行や信用金庫からの融資を受けるためには、詳細な事業計画の策定が重要です。事業の安定性を示す要素を明確に伝える必要があります。
- 助成金や補助金の利用
スタートアップ支援のための助成金や補助金の情報を収集し、適切な申請を行うことも一つの方法です。
- クラウドファンディングの活用
少額の資金を多くの人から集めるクラウドファンディングは、スタートアップに適した資金調達手段となり得ます。
- 企業や投資家との提携
事業の理念やビジョンに共感する企業や投資家からの支援を得ることも一つの選択肢です。
開設資金の目安
- 初期投資
訪問看護事業所を開設する際の基礎となる資金が初期投資です。物件や設備、採用費、宣伝広告費などが含まれます。後述する運転資金が、事業所の運営を圧迫するため、豊富な開設資金を準備できない場合は、初期投資を抑えることが大切です。
- 運転資金
事業開始後、安定した収益を得るまでの間、人件費や日常運営費に充てる流動資金が運転資金です。訪問看護事業は、保険事業の性質上、売上が実際に口座に振り込まれるまで2ヶ月程度のタイムラグがあります。そのため、事業開始後の最初の2ヶ月間は入金が見込めません。また、売上が単月で黒字に転じるまでには、開設からおよそ5ヶ月が必要と言われることもあり、少なくとも6ヶ月分の運営費用をカバーできる運転資金の準備が必要です。
- 開設資金
初期投資と運転資金を考慮し、訪問看護事業所の開設相談をいただく際に、準備資金の目安として1500万円〜2000万円程用意されることをお勧めしています。
ステップ⑤ 事業計画
事業計画は、事業の将来展望や目標を定める重要な文書です。
特に訪問看護事業所開設においては、この計画が非常に重要な意味を持ちます。
訪問看護業界では、患者の多様な要求に対応するため、サービス内容、提供地域、人員配置など多くの要素を計画的に整理する必要があります。
事業計画書の作成には以下の目的があります。
- 目標の明確化
事業計画を策定することで、社会に提供する価値や事業のビジョンが明確になり、組織全体が一つの目標に向かって動くことが可能になります。
- リスクの管理
市場調査や事前分析を通じて、将来のリスクを早期に特定し、対策を立てることができます。また、事業計画書は運営の進捗や決断の際の重要な参考資料となります。
- 資金調達のため
事業計画書には、収益予測や計画の詳細を記載することで、金融機関や投資家からの信頼を得ることができます。融資の際は返済能力の証明、出資の際はビジネスモデルの魅力、補助金申請の際は要件に合った計画の提示が重要です。
事業計画書は、その対象に応じて最適な記載方法が異なるため、相手の視点を考慮して作成することが重要です。
「訪問看護ステーション開設のためのステップ【後編】」へ続きます。
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