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今回のコラムでは、訪問看護ステーションの利用者獲得のための営業活動について、営業活動のメリットやポイントを解説していきます。
訪問看護における営業活動は、単なる顧客獲得以上の意義を持ちます。
訪問看護スタッフの中には、「私が看護の仕事を選んだのは、営業活動をするためではない」と考える人や、「営業活動に時間を費やすよりも、むしろ看護サービスの質を高めることに注力したい」という意見が存在します。
これらは、従来の営業職のイメージと看護師としての職業意識との間で感じるギャップを示していると言えるでしょう。
また、スタッフに対して漠然と「営業活動に取り組もう」と促すことで、「新規利用者を獲得しなければといったプレッシャー」を引き起こす可能性があり、これが営業への抵抗感をより一層強めることに繋がります。
しかし、訪問看護スタッフによる営業活動は、重要な業務の一部であり、多職種と連携して地域住民に包括的な支援を提供する上では必要不可欠なものです。
訪問看護師はチーム医療の中心となることが求められており、その役割を果たすためには信頼関係の構築が必要です。
営業活動を通じて信頼関係の構築に努めることで、質の高い看護サービスの提供、自身のスキルアップ、仕事に対する充実感を得る機会に繋がります。
在宅医療現場では、各種専門職がその知識と技術を駆使して利用者へサービスを提供します。多様な職種が連携するこの環境では、効率的なコミュニケーションがサービス品質を向上させるために欠かせません。コミュニケーションをスムーズに行える関係が築かれていない場合、「この要望を伝えても大丈夫だろうか」「この点を修正してほしいが、言い出しづらい」といったコミュニケーションの障壁が生じ、業務効率やサービスの質へ悪影響を及ぼします。そのため、日々の業務が忙しい中でも、営業活動を通じて築かれるコミュニケーションの機会は、地域包括ケアチームの協力を促し、看護サービスの質向上に貢献します。
訪問看護スタッフが他職種と連携することで、在宅医療における様々な専門家がどのように利用者への貢献を果たしているかを理解することが可能となります。得られた知識をもとに、患者様の看護計画を策定したり、より良い生活環境の構築に役立てることができます。このプロセスは、訪問看護師のスキルを充実させる絶好のチャンスを提供します。
営業活動を通じて、訪問看護スタッフは自らが在宅医療において果たしている役割を実感することができます。
医療従事者や利用者から直接寄せられる感謝の言葉は、サービスの質の向上やスタッフのモチベーション増進につながり、仕事に対する満足度を高める事に繋がります。
また、こちらから営業先に利用者からの声を届けることでフィードバックの機会を提供する事に繋がり、より強固な信頼関係構築に繋がります。
以上の点から、訪問看護スタッフによる営業活動は、サービス品質の向上、自身のスキルアップ、そして在宅医療への貢献という点で大きな意義を持ちます。
このような意義を理解することで営業活動の捉え方が変わり、向き合い方も変わるでしょう。
訪問看護サービスを提供する際、ほとんどの場合、医療機関や居宅介護支援事業所からの紹介によって開始され、直接利用者からの依頼は少ないです。サービスの品質が低いと、紹介元に対して「なぜその事業所を推薦したのか」という悪い印象を与えかねず、クレームの原因となることもあります。そのため、紹介元は信頼できる訪問看護ステーションを選ぶことを重視し、信頼関係が既に築かれている事業者への依頼がスムーズに行われることが多いです。
HubSpot Japan株式会社が公表している、”買い手にとって誠意がある営業担当者とは?”の調査結果によると、「足を運び、対面で話してくれる」「できないことを明確に伝えてくれる」「短時間で内容の濃い商談をしてくれる」「社内でも気づいていない課題を発見し、解決策を提案してくれる」「自社のアピールより顧客の課題ヒアリングを重視してくれる」の方が、営業担当者に求められる誠実さとして高く評価されています。
(出典)HubSpot 日本の営業に関する意識・実態調査2021の結果をHubSpotが発表
買い手にとって誠意がある営業担当とは?
対面での営業は効果的ですが、それに加えて、顧客の課題を見つけ出し解決策を提案したり、可能なことと不可能なことを明確に伝え、サービス利用時の具体的なイメージを持たせるような関係性を築くことが、誠意ある対応と感じられることが分かります。
営業活動の目標及び業務の優先度を明確にする重要性は高いです。
目標が合致しない場合、営業活動は効果的に実行されず、期待する成果を達成することは難しくなります。さらに、業務の優先順位が明瞭でない場合には、業務の重要度に対する見解の相違が発生し、「営業活動に時間を割けなかった」や「勉強会のための資料準備に時間が取られた」といった事態に陥ることがあります。このような状況は営業活動への苦手意識を強め、結果として後回しにされやすくなります。
職場の環境が整っていても、適切な報酬やスタッフの待遇の維持ができなければ、事業の継続は難しいです。看護師は自分の職務に対する誇りを持っています。看護サービスの提供が難しい状況は、大きなストレス源となり、専門職としての尊厳を損なう恐れがあります。これらの事から、訪問看護ステーションの運営において、営業活動の優先順位を高く設定する必要があることが明らかになります。
営業活動を進めることで、認知度の向上、関係構築、課題理解、そして共感の獲得を通じて信頼を築くことができます。このようにして形成された信頼関係が新規の相談依頼につながりますが、営業活動の開始直後に相談依頼が増えるわけではなく、結果が出るまでには時間が必要です。そのため、採用計画や運営計画を踏まえた上で、計画的に営業活動を進める必要があります。機会損失を避けるためには、営業戦略を定期的に見直し、フィードバックする機会を業務プロセスに組み込むことが重要です。このようにして、どのような時期でも情報共有と評価を一貫して行える体制を築くことが求められます。
訪問看護の営業に関するよくある質問をまとめました。
本記事では、訪問看護における営業活動の重要性や営業先の視点を考慮すること、営業の目的や優先順位を明確にすること、フィードバックの大切さについて解説しました。在宅医療の分野では、信頼関係の構築が特に重要とされ、営業活動は訪問看護サービスの質や利用者の生活環境に影響を及ぼす重要な役割を果たします。訪問看護師としての職業的意義を深めるためにも、これらの点を理解し、取り組むことが重要です。
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